公開日:2025.12.17
更新日:2025.12.17
南高梅(なんこううめ)とは? 名前の由来からおいしい食べ方、保存方法まで徹底解説
梅干しや梅酒を作る「梅仕事」の季節になると、スーパーやネットショップで存在感を放つ「南高梅(なんこううめ)」。
「梅の最高級ブランド」として名高い南高梅ですが、他の梅と比べて具体的に何が違うのでしょうか。
ここでは、南高梅の歴史や特徴、魅力を最大限に引き出す食べ方、保存方法などをご紹介します。
01.
南高梅とは?
和歌山県のみなべ・田辺地域は、日本一の梅の生産量を誇ります。この地で作られる南高梅は、紀州南高梅として高い知名度と人気を博しています。
南高梅の歴史
江戸時代、当時の紀州藩田辺領(現在のみなべ・田辺地域)は平野が少なく土地も痩せていて、お米が育ちにくい場所でした。
農民たちの苦しい生活を救うために、当時の田辺藩主は、山に自生していた生命力の強い「やぶ梅」に着目し、「梅を育てれば年貢を減免する」として痩せた土地や斜面への植栽を奨励。
この地域は温暖な気候やたくさんの雨量、日照時間の長さなど、梅の生育には最適な環境だったため、梅栽培がこの地に根付いていったのです。
とはいえ、昭和初期まではたくさんの梅が栽培されていて、品質もバラバラでした。
昭和25年(1950年)になると、市場での競争力を高めるために「地域で最も優れた梅」を選抜して統一しようという動きが起こります。この調査に尽力したのが、地元の「南部(みなべ)高校」の園芸科の先生と生徒たち。
品種登録を行う際に、調査に奮闘した南部高校の名前から、「南高梅(なんこううめ)」と名付けられたのです。
南高梅の旬はいつ?青梅と完熟梅の違い
南高梅の収穫時期は、例年6月上旬から7月上旬頃です。
しかし、店頭に並ぶ梅には「青梅」と「完熟梅」の2種類があり、それぞれ旬の時期や適した用途が異なります。
6月上旬〜中旬:「青梅」
収穫シーズンの前半に出回るのが、鮮やかな緑色をした「青梅」です。果肉は硬くしまっていて、清涼感のある香りがします。酸味が強いのも特徴です。
主に、梅酒や梅シロップ、カリカリ梅といった用途に適しています。
6月中旬〜7月上旬:「完熟梅」
シーズンの後半になると、黄色く色づき、日光が当たった部分が赤く染まった「完熟梅」が登場します。フルーティーな甘い香りと柔らかな果肉が特徴です。
果肉の柔らかさを生かして、梅干し作りに使うと、おいしい梅干しに仕上がります。
02.
南高梅の3つの特徴
高い人気と知名度を誇る南高梅ですが、他の品種と比べて具体的に何が優れているのでしょうか。特徴としては、以下の3点が挙げられます。
皮が薄く果肉は厚い
南高梅の最大の特徴は、皮の薄さと果肉の厚さです。
皮が薄いため、舌触りが良く滑らかな食感を楽しめます。果肉が厚いうえに種のサイズは果実の割に小さいため、食べ応えがあるのも魅力です。
大粒で見栄えが良い
南高梅は果実そのものが大きく、20g〜40g以上の大玉も多く収穫されます。
ふっくらとした大粒の梅干しは、見た目の高級感も抜群。お中元やお歳暮などの贈答用としても人気です。
完熟落下による香り
南高梅の栽培では、完熟落下という方法が採用されています。
完全に熟して自然に枝から離れた実を、地面に敷いたネットで受け止めて収穫するという方式です。無理に手でもぎ取るのではなく、梅の木が実を落とすのを待つため、しっかりと熟した梅を手に入れることができます。
03.
南高梅のおすすめの食べ方
南高梅は梅干しだけでなく、さまざまな料理やデザートでおいしく食べることができます。南高梅の楽しみ方の例をご紹介するので、参考にしてみてください。
梅干し
南高梅といえば、やはり梅干し。近年では製法や味付けも多様化していて、酸っぱい梅干しが苦手な方でもおいしく食べられます。
・白干し梅(塩分約20%):塩だけで漬けた昔ながらの味わいが特徴です。酸味と塩気が強く、保存性に優れています。
・しそ漬け梅:赤紫蘇の爽やかな香りが食欲をそそります。おにぎりの具材として定番です。
・はちみつ梅(塩分3〜8%):梅干しならではの酸味が苦手な方でも食べやすいのが魅力です。甘みがあるので、お茶請けとしても楽しめます。
梅煮
調味料として活用するのもおすすめです。例えば、青魚を煮る際に梅干しを加えると、魚の生臭さが消えておいしく食べられます。
魚の骨を柔らかくする効果があるのも特徴です。
南高梅ジャム
完熟した南高梅はジャムにしてもおいしく食べられます。南高梅は皮が薄いため、裏ごししなくても気にならず、果実感のあるリッチな仕上がりに。
甘酸っぱい香りを楽しみたい方は、ジャムにしてみてはいかがでしょうか。
04.
南高梅の正しい保存方法
手に入れた南高梅をおいしく保つためには、状態に合わせた保存が欠かせません。
正しい梅の保存方法も覚えておきましょう。
生梅(青梅・完熟梅)の場合
生梅は、青梅か完熟梅かで保存方法が異なります。乾燥しないように新聞紙などで包み、冷暗所で保存します。鮮度が落ちやすいため、できるだけ早く加工しましょう。
完熟梅は非常に傷みやすいため、すぐに加工するのが基本です。長期保存したい場合は、洗ってヘタを取り、冷凍用保存袋に入れて冷凍保存しましょう。
冷凍することによって繊維が壊れるため、梅シロップなどのエキスが出やすくなります。
梅干しの場合
梅干しは保存性に優れているとはいえ、絶対に腐らないわけではありません。
塩分濃度が20%前後と高めでしっかりと天日干しもされている、昔ながらの梅干しであれば、冷暗所に置いておくだけで長い期間保存できる可能性が高いです。
しかし、近年人気を集めている減塩タイプの梅干しは、塩分濃度が低いうえに調味料なども含まれているため、保存性は高くありません。
商品によっては常温保存ができる場合もありますが、塩分濃度が低めの梅干しは未開封・開封済みを問わず、冷蔵保存するのが基本です。
酸の影響で変質する恐れがあるため、
また、梅干しの保存性は取り扱い方にも左右されるものです。
ぬれていたり、他の食材に触れたりしたお箸で梅を取り出すと、そこから雑菌が入り込んでしまう恐れがあります。
梅干しを容器から取り出す際は、清潔で乾いたお箸を使いましょう。
乾燥を防ぐために、密閉容器に移し替えたり、梅干しにラップをかけたりしておくのもおすすめです。
05.
梅干しは贈り物にもおすすめ!
梅干しは自宅用として楽しむだけでなく、贈り物としても人気がある食品です。お中元やお歳暮、内祝いなどで梅干しが選ばれているのには、しっかりと理由があります。
相手を気遣う気持ちが伝わる
相手のことを気遣う贈り物は、誰にでも喜んでもらえるものです。梅干しにはクエン酸やビタミン、ミネラルなどの成分が含まれています。
「梅はその日の難逃れ」「梅は三毒を断つ」といった言葉からもわかるように、日本では古くから梅は健康に役立つ食材とされてきました。
たくさん食べると塩分の摂りすぎにつながる恐れはあるものの、相手の健康を気遣う心を形として伝えることができます。
古くからの縁起物
冬の厳しい寒さに耐え、春に先駆けて花を咲かせる梅は、生命力の象徴でもあります。松竹梅という言葉があるように、梅は古くから縁起の良い植物とされてきました。
さらに、梅干しの表面にはシワがあります。「シワができるまで長生きしてほしい」といった意味に通じることから、敬老の日や長寿のお祝い、結婚式の引き出物など、お祝い事のシーンにも適しています。
06.
梅を好みの形でおいしく楽しもう
南高梅は、和歌山県の豊かな風土と、400年にわたる人々の知恵によって育まれた梅の一大ブランドのひとつです。
大粒で皮が薄く、果肉たっぷりのその実は、梅干しにしても、料理に使っても、おいしく食べることができます。
また、高級感のある個包装の南高梅の梅干しなどは、
スーパーやネットショップで南高梅を見かけたら、ぜひその「名前の由来」や「完熟の証」に思いを馳せながら、手に取ってみてはいかがでしょうか。
イオン「南高梅(なんこううめ)とは? 名前の由来からおいしい食べ方、保存方法まで徹底解説」は、イオングループのイオンショップがお届けいたします。
企業情報はこちら

