公開日:2025.08.13
更新日:2025.08.13
お彼岸とは?意味・由来・お供え物のマナーを解説
「お彼岸(ひがん)」と聞いた時に、お墓参りを想像する方は多いはずです。一方で、お彼岸が具体的にどのような行事なのか、どんな意味を持つのかといったことは、あまり詳しくないかもしれません。
ここでは、お彼岸の意味や由来、お供え物を選ぶ時の注意点などをご紹介します。
01.
お彼岸とは
お彼岸は、故人やご先祖さまを弔う日本の伝統文化のひとつです。
古代インドを中心に使われていたサンスクリット語で「完成」「悟りに達する」などを意味する「波羅蜜多(パーラミタ)」を漢語に訳した「到彼岸」が語源となっています。
お彼岸の期間は、春分の日と秋分の日を中心とした前後3日間の、計7日間です。春分の日と秋分の日は、太陽が真東から昇って真西に沈みます。
仏教の考えでは極楽浄土は西方にあると考えられていたため、太陽が真西に沈む春分・秋分の日は極楽浄土に一番近づく日と考えられていました。
彼岸の時期にご先祖さまを弔うことで、極楽浄土に近づけると考えられていたのが、お彼岸の由来とされています。
仏教の考えがベースではあるものの、お彼岸自体は日本独自の文化です。平安時代に行われた行事が、後にお彼岸に発展したと考えられています。
02.
お彼岸とお盆は何が違う?
お彼岸と同様に、故人や先祖を弔う行事にお盆があります。
前述のとおり、お彼岸は春分の日と秋分の日を中心とした7日間で、ご先祖さまを弔い感謝の気持ちを伝えるための行事です。
一方で、お盆はあの世から帰ってくるご先祖の霊を迎え入れるための行事です。地域によってまちまちではありますが、基本的には8月15日前後がお盆の期間に当たります。
03.
お彼岸の期間にやること
お彼岸は、故人を弔うための年間行事です。ご先祖さまへの感謝の気持ちを込めて、次のようなことを行うと良いでしょう。
お墓参り
お彼岸の時期はお墓参りを行うのが一般的です。中日(春分の日・秋分の日)にお参りするのが良いとされていますが、7日の間ならいつお参りしても問題ありません。
【お墓参りの手順】
1.お墓周辺や墓石などの掃除
合掌をしてから、お墓周辺の雑草を抜いたり、墓石に水をかけて汚れを落としたりする。汚れが落ちたらきれいな水を墓石に再度かける。
2.お供え
お盆などの上にお供え物を置く。
3.お参り
お線香を立ててから合掌する。複数人で行っている場合は、故人と縁の深い人からお参りする。
4.お供えで使ったものの後片付け
お参りで使ったものを片付ける。お供えに使った食べ物や飲み物も、そのままにせず持ち帰ること。
ただし、お墓参りの作法は宗派や地域などによって異なる場合があります。不安な方は、事前に確認しておくのがおすすめです。
仏壇の掃除
自宅に仏壇がある方は、仏壇の掃除も行いましょう。
最初に合掌して「これから掃除を行います」とご先祖さまに断りを入れてから掃除を始めるのが基本です。
その後、位牌や仏具などを外に出して、ホコリを落とします。どこに何が置いてあったかわからなくなる恐れがあるため、取り出す前にスマートフォンで写真を撮っておくと安心です。
繊細な素材で作られている仏具に関しては、柔らかい布で拭く程度のお手入れで問題ありません。
掃除が終わったら、お供え物やお線香をあげてお参りも済ませておきましょう。
法要への参加
お彼岸の法要を行うこともあります。お寺で行う場合は合同法要になりますが、自宅に僧侶を招いて個別法要を行うことも可能です。
お寺や家庭の考え方にもよるので、事前に相談しておきましょう。
合同法要、個別法要どちらの場合も、法要を行う際は僧侶にお布施が必要になるので、お金を用意しておきましょう。
自宅に僧侶を招く場合は交通費(お車代)も別途必要になるので注意が必要です。
お布施は、合同法要なら3,000円~1万円、個別法要なら3万円~5万円+お車代(5,000円~1万円)程度が目安です。
日々の生活を見直す
仏教において、お彼岸は煩悩にまみれた現世(此岸/しがん)から悟りの境地(彼岸)に達するための修業期間です。
仏教では「六波羅蜜(ろくはらみつ)」という行いを実践することで、悟りに至れるとされています。
お彼岸の機会に、六波羅蜜を実践してみて、自分自身の行いを振り返ってみてはいかがでしょうか。
【六波羅蜜の6つの項目】
・布施(ふせ):見返りを求めずに施しを行うこと
・持戒(じかい):戒律を守ること
・忍辱(にんにく):困難があっても耐え忍ぶこと
・精進(しょうじん):常に努力すること
・禅定(ぜんじょう):冷静な心を保つこと
・智慧(ちえ):他5つを実践し、物事を正確に理解すること
04.
お彼岸にふさわしいお供え物
お彼岸では、お墓や仏壇にお供え物を行います。お彼岸の定番のお供え物と、お供え物の意味を覚えておきましょう。
おはぎ(ぼたもち)
お餅を餡で包んだおはぎ(ぼたもち)は、お彼岸の定番のお供え物のひとつです。
おはぎもぼたもちも同じ和菓子で、異なるのは名前だけです。それぞれ春に咲く牡丹(ボタン)と、秋に咲く萩(ハギ)の花にちなんで名づけられています。
地域差はあるものの、基本的には春はぼたもち、秋はおはぎと考えておけば問題ありません。
お彼岸におはぎをお供えするようになったのは、江戸時代頃からとされています。小豆の赤色は邪気を払う色だから、当時は高級品だった砂糖を使ったお供え物で感謝の気持ちを示したなど、お供え物として定着した理由は諸説あります。
また、お彼岸団子と呼ばれる白く丸い団子も、お供え物の定番です。仏教において、死後に生まれ変わるとされる6つの世界(六道/ろくどう)にちなみ、一般的には6個お供えします。
お花
お花も、定番のお供え物のひとつです。お彼岸の時期は仏花が売られていることも多いですが、仏花以外の花でも問題ありません。故人が好きだった花や、季節の花を選ぶのも良いでしょう。
ただし、トゲや毒がある花をお供えするのはタブーとされています。バラやヒガンバナをお供えするのは避けた方が良いでしょう。
香りが強い花も、控えることをおすすめします。
季節の果物
季節の果物をお供えするのもおすすめです。仏壇にお供えしておくことも考えられるため、リンゴやメロンなど、できるだけ日持ちしやすい種類を選ぶと良いでしょう。
常温でも傷みにくい果物を用意しておけば、お供えが済んだ後に食べても安心です。
故人が好きだったもの
花や果物ではなく、故人が好きだった食べ物や飲み物をお供えするのもおすすめです。あの世との距離が近いとされているお彼岸に、好きだったものをお供えすれば、きっと喜んでもらえるでしょう。
仏教の考えに即した行事なので、精進料理をお供えするのもおすすめです。
ただし、殺生を連想させる肉や魚、お酒は仏教ではタブーとされているので、お供え物にするのは避けた方が無難です。
どうしてもお酒やお寿司などをお供えしたい時は、食べ物や飲み物の形のロウソクを用意するなどの工夫を行いましょう。
また、ニンニクやネギ、ニラ、ラッキョウ、玉ねぎなどの香りの強い野菜は五葷(ごくん)といって、精進料理では使用されません。
そのような食材を使った料理も、お供え物にするのは避けた方が良いでしょう。
05.
ご先祖様への感謝の気持ちを込めたお供えを
仏教の考え方をベースに、日本の風習と結びついて古くから行われてきたお彼岸は、ご先祖さまを弔い感謝の気持ちを示す絶好のタイミングです。
普段お墓参りに行くことのない方は、お彼岸の時期にお参りやお供えをしてみてはいかがでしょうか。
基本的には故人が好きだったものを用意すれば問題ありませんが、お供え物としてふさわしくないとされている品物もあるため注意が必要です。
また、お彼岸の風習は宗派や地域によって異なる場合があります。詳細については、家族などに確認を取っておくと安心です。
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