公開日:2025.08.29
更新日:2025.08.29
おせち料理の由来・意味・地域差とは?いまさら聞けないお正月の基本
日本のお正月に欠かせない、代表的な正月料理の「おせち」。おせち料理に使われている食材には、おめでたい意味が込められています。食材の持つ意味を知っていると、おせち料理がより楽しめるようになるでしょう。
この記事では、おせち料理の由来や、使われる食材の持つ意味などをご紹介します。
01.
「おせち料理」の名前の由来
おせち(御節)の名前の由来は、「おせちく(御節供)」という言葉にあります。御節供は、季節の変わり目の「節句」の行事で、神様にお供えする料理のことを指していました。
数ある節句の中でも、1年の節目に当たるお正月は特別な日です。もともとは数ある節句の行事で出す料理全般が「おせち」でしたが、徐々にお正月料理に限定して「おせち料理」と呼ぶことが一般化しました。
また、元日は、神様をお迎えして、新年の豊作や幸福を願う行事を行う日でもあります。神様がいる三が日の間は台所に立たず、火や包丁を使わないという風習があったため、保存がきくように調理されています。
02.
地域によって異なるおせち事情
おせち料理は、食べる時期や使われる食材など、細かなルールが地域や家庭によって異なります。地域ごとのおせち事情を知っていると、さらにお正月料理を楽しめるのではないでしょうか。
おせち料理を食べるタイミング
おせち料理を食べるタイミングは、元旦(1月1日)に食べる地域と、大晦日(12月31日)に食べる地域に分けられます。
元旦におせち料理を食べることが多いのは、関東や関西、東海といった地方です。
一方で、北海道や東北、甲信越、四国、九州の一部では、大晦日におせち料理を食べ始めます。これは、旧暦では日没から1日が始まるとされていたのが理由です。
大晦日の日没後はすでに元旦という扱いになるので、いずれも「元旦におせち料理を食べる」という点は変わりません。
また、年越しそばやお雑煮といった年末年始の定番料理も、地域によって扱いに差があります。
【大晦日におせち料理を食べる地域の年越しそば、お雑煮事情】
・おせち料理を食べてから年越しそばを食べる
・大晦日に年越しそばを食べない
・元旦の朝はおせち料理の残りとお雑煮を食べる
・元旦はお雑煮で済ませる など
沖縄におせち料理はない?
沖縄には、本州などとは異なり重箱に詰める「おせち料理」はありません。新年には、豚肉料理をはじめとした郷土料理を食べるのが、沖縄のお正月の過ごし方です。
ただし、旧正月や墓参りなどの際に「御三味(うさんみ)」という重箱料理を食べる習慣が残されています。
03.
おせち料理の基本の構成
おせち料理は、重箱に詰めるのが基本です。どの段に何を詰めるのかはルールがあるので、事前に覚えておきましょう。地域によって差があるものの、5段の重箱に詰めるのが正式なルールです。
・一の重:重箱の一番上の段で、祝い肴や口取りと呼ばれる料理を詰めます。
・二の重:2段目の重箱には魚介類の焼き物を詰めるのが基本です。お肉料理や揚げ物もここに詰めます。
・三の重:煮物を中心に詰めます。二の重とは異なり、山菜を使った料理が多く入ります。
・与の重:酢の物や、三の重に入りきらなかった煮物などを詰めます。「四」が「死」を連想させるため、与の重(よのじゅう)と呼ぶのが一般的です。
一番下の5段目は「たくさんの福が入るように」という願いを込めて、何も詰めないようにします。
04.
おせち料理の食材に込められた意味
おせち料理の献立は、祝い肴、口取り、焼き物、酢の物、煮物が基本です。それぞれの代表的な食材と、込められた意味をご紹介します。
祝い肴
お酒のおつまみとして重箱に詰める食材で、おせち料理に欠かせないものです。関東では黒豆・数の子・田作り(ごまめ)、関西では黒豆・数の子、たたきごぼうの3品が祝い肴になります。
【黒豆】
「今年も1年マメで健康に過ごせるように」という願いが込められています。
地域によってはシワが出るように黒豆を煮て、「シワができるほど長生きできますように」という意味も込めます。
【数の子】
卵が多くついている数の子は、子孫繁栄を願う縁起物です。数の子はニシンの卵なので、「二親」という文字を当てて両親の長寿も願います。
【田作り(ごまめ)】
カタクチイワシの稚魚を干したものを、醤油や砂糖、みりんで味付けした料理が田作りです。昔は小魚を田んぼの肥料としていたことから、五穀豊穣の願いが込められています。
【たたきごぼう】
地中深くに根を張るごぼうのように「家庭や家業がその土地に根付いて栄えるように」「長生きできますように」といった願いを込めた料理です。
ごぼうを叩いて開くため、「開運」の意味も込められています。
口取り
口取りも、お酒のおつまみとして食べられるものですが、祝い肴よりも見た目が華やかな料理が並びます。
【昆布巻き】
「子生」と字を当てて子孫繁栄を祈ったり、「養老昆布(よろこぶ)」と当てて不老長寿を祈願したりする縁起物です。
【伊達巻】
巻物の形に似ていることから、知識が増えるようにという願いが込められています。見た目も鮮やかで、お祝いの席にぴったりの料理といえるでしょう。
【きんとん(金団)】
見た目が金塊や小判の色(金色)に通じることから、商売繁盛や金運をもたらす縁起物としておせち料理に使われます。
【かまぼこ】
初日の出に似た形から、おめでたいものの象徴として使われます。
紅白かまぼこを使うのは、紅が魔除けや喜びを、白が神聖さを表すためです。
焼き物
おせち料理における焼き物は、魚介類を焼いた料理が基本です。重箱が5段の場合は、二の重に焼き物を詰めます。
【エビ】
エビを茹でた際に腰が曲がる様子がお年寄りに似ているため、「腰が曲がる年齢まで元気でいられるように」と意味を込めておせち料理に使われます。
【タイ】
「めでたい」との語呂合わせから、縁起物として食べられています。七福神の一柱である恵比寿様が持つ魚でもあるため、お正月にふさわしい食材といえるでしょう。
【ブリ】
ブリは成長するごとに名前が変わる出世魚です。立身出世を願って食べられます。
【ハマグリ】
ハマグリの貝殻は、対になっているもの同士でしかきれいに閉じません。夫婦円満や良縁を祈願する縁起物です。
【アワビ】
古くから催事やお供え物として贈答されてきたアワビは、縁起物の象徴です。寿命が長いため、不老長寿の願いを込めることもあります。
煮物
三の重には、筑前煮や煮しめといった煮物を詰めます。さまざまな食材を一緒に煮ることで、家庭円満を祈願します。
【里芋】
里芋は土の中にたくさんの子芋ができる食材です。それにあやかり、子孫繁栄の象徴として使われます。
【レンコン】
穴があいている見た目から、1年間の見通しが良くなるようにという意味が込められています。また、レンコンやにんじんといった「ん」がつく食材は「運がつく」とされています。
【くわい】
大きな芽が出る(目が出る)ことにかけて「出世する」という願いを込められています。
酢の物
おせち料理の与の重(4段目)には、箸休めの役割を持つ酢の物が入ります。
【紅白なます】
細く切った大根とニンジンの紅白がめでたいことから、おせち料理に使われています。紅白の水引を表現しているという説もあります。
05.
家族全員が喜ぶおせち料理を用意しよう
おせち料理には、縁起の良い食材がたくさん使われています。込められた意味を知れば、おせち料理をさらに楽しめるでしょう。
ただし、大切なのは込められた意味にこだわることではなく、家族で楽しくお正月を過ごすことです。近年は、たくさんのおせち料理が売られています。家族全員がおいしく食べられるかを考えながら、おせち料理を選んでみてはいかがでしょうか。
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