いまさら聞けない、聞きにくい?心をつたえる贈り物のマナーをマナーの達人栗原先生に聞きました。
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「話す・聴く・書く・読む」というコミュニケーション力の向上のため、相手の立場や気持ちを意識することが何より大切、と説くコミュニケーション研修会社㈱クレスコパートナーズ取締役。
TA分析やコーチング・メソッドに講師歴24年の経験を加えて、ビジネスの場を中心に活躍する人気講師。
著書に『攻める!最短最強ビジネスマナー(KKベストセラーズ)』『これだけは知っておきたい「レポート・報告書」の基本と知識(フォレスト出版)』など。
ホームページ:http://www.cresco-partners.co.jp
- そもそもお歳暮って?
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新年に先祖供養の品を贈る習わしが起源とされています。お歳暮は、年の暮れ、年末(歳暮=さいぼ、せいぼ)という意味をさす言葉です。
年の暮れの贈り物を持っての挨拶まわりが「歳暮まわり」と呼ばれ、贈答品そのものが「お歳暮」と呼ばれるようになったと言われています。その年を締めくくるご挨拶として、いつもより少しあらたまった気持ちをお贈りしましょう。
- それぞれの時間に思いを
はせながら・・・
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12月(師走)は一年を振り返って色々な思いが巡る季節。素敵な方々と積み重ねた時間に感謝して・・・、ついつい疎遠になっていた方々との時間を巻き戻すために・・・、そんな気持ちを贈り物に込めれば、きっと先様にも伝わることでしょう。
- 堅苦しすぎる?そんな時は
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とはいえ、伝統的な文化を自由な発想で使いこなす、という考え方で、お歳暮と言わず、クリスマスプレゼント としてお贈りするのも良いかもしれません。そんな視点でお品物選びをすれば、イメージもいっそうふくらむのではないでしょうか。
- いつ贈ればいいの?
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本来は12月10日くらいから20日までに お贈りするのが一般的とされてきましたが、最近では全国的に12月入ってから25日位までを目安に贈る方が多いようです。お正月用品を贈るなら、年末ギリギリでもよいでしょう。
- 誰に贈るの?
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会社の上司など仕事関係の方はもちろん、ご両親様や親戚、仲人、 友人や知人、習い事の先生、かかりつけのお医者様など、日ごろの 感謝を何か形にしたいと思える方ならどなたでも。お歳暮というとあら たまり過ぎ、あるいは今回だけ、とお考えならば、ちょっとした「お礼」とされてはいかがでしょう?
- 何をどのくらいの予算で
贈ればいいの?
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お歳暮と言われるとお正月用の食材(新巻鮭、数の子、日本酒)など が定番でしたが、最近では家族で楽しめるようなスイーツやお鍋のセッ トなども人気です。3,000円から5,000円という金額が一般的ですが、お中元よりお歳暮の方が少しだけ金額が上になっても良いでしょう。それよりも先様が喜ぶ姿を想像して品物を選ぶことが大切で、あまり金額に縛られる必要はないのではないでしょうか。
- 遅くなってしまったら?
12月20日を過ぎた頃~年内
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忙しくてうっかり時期を過ぎてしまいそうでも、25日位までは大丈夫です。お正月用品であれば、年末ギリギリでも構いません。
20日過ぎ~年内のお届けが気になるならば「のし」の表書きは「寒中御見舞(目上の方には寒中御伺)」とするのはいかがでしょう。
- 1月(元旦)~7日
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御年賀、新年のご挨拶(喪中のお宅にはこの表書きは使わない)
とはいえ、やむを得ない場合を除いては、配達日指定を利用するなど、早めに発送手続きを済ませておくのがスマートです。
- お歳暮もお中元も贈るべき?
一度贈ったら続けるべき?
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贈り物は、あくまで気持ちを表す手段であって目的となるものではないはず。とくに個人同士ではお歳暮もその原点に立ち返ってみましょう。「贈り物は年に一度お歳暮だけ」と決めつける必要はありません。あからさまに「縁の切れ目が贈り物の切れ目」と先様に感じさせてしまうのは少々考えものでしょう。先様を思い浮かべて自分だったらどうされたいのか?と振り返って、その気持ちに添うことが大切です。贈り物は無理をせず細く長く、と考えるのも答えのひとつだと思います。
- 喪中の場合は?
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贈り手、受け手のいずれかが喪中でも贈ることができます。ただし初七日が終わらぬうちや、法要の日に持参するのは避けた方がよいでしょう。
「のし」は、通常の紅白の水引の「のし」を用いずに、シンプルな「短冊の し」にするなどのお心遣いをされてもよいでしょう。
また、時期をずらして1月7日(松の内)以降に「寒中お見舞い」としてもよいでしょう。
- 気をつけなければならない贈り物
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生鮮食品をお贈りするときは、先様のご在宅を確認しておきましょう。
また、あまり高額な物を贈りすぎても先方に気を使わせてしまいますので気をつけましょう。
よく言われるところでは、「踏む」ことになる履物や靴下、玄関マットなど、「勤勉」を意味する時計や筆記具など は、目上の人に贈るのはふさわしくないとされています。また、あまり 根拠はなさそうですが、次のようなお品物は気にする方もいらっしゃるようです。
◆ 4と9などの語呂合わせに関連する品物
◆ 不適当な意味の花言葉を持つお花
◆ 「切れる」という連想から刃物
◆ 漢字表記の「手巾(てぎれ)」が「手切れ」を連想させるハンカチ
- 送り状(挨拶状)とお礼状
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送り状(挨拶状)は品物が届くよりも早く送ることをお勧めします。また、お礼状も手を抜か ず、早めに出しておきたいですね。親しい間柄なら電話やメールでお礼を伝えてもかまいませんが、手紙で出す場合は次の文例をご参考 になさってください。
- 熨斗(のし)と水引
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「のし」は慶事の贈り物の際だけに使われますが、鮮魚、肉などにはつけません。「内のし」「外のし」で迷われる方もいらっしゃるようですが、一般的には誰からどんな目的で贈るのかをはっきりするために 「外のし」、それ以外は「内のし」と使い分けられます。地域による差もあるようですが、配送時の汚れを防ぐ意味でも基本的には「内のし」が無難です。「水引」は慶弔いずれの場合にも使われますが、何度あってもいいお祝いの際には奇数本で花結びを、二度あってはならないことの際には奇数本で結び切りを使います。ただし婚礼には5本2束の10本にするのが習わしです。
ここに書かれていることは、あくまで目安となる一般的な例ばかりです。こうでなければいけない、ということはありません。実際のお品物選びにあたっては、これらを参考にご自分のお立場と先様との関係、先様のお好みや状況を考えてお決めください。
いろいろな思いを巡らせ、なにを贈るか迷われているその時間も、じつはあなた様からの贈り物です。そんなふうに考えて、ご自身でもぜひ贈り物をお楽しみいただきたいと思います。